ページ

2007年2月16日金曜日

邪魅の雫 より

0 件のコメント:
「世間ってのは何です?」
君と僕だと中善寺は云った。
「は?」
「君でも、僕でもない、君と僕だ。此処には君と僕と関口君とを交えた世間がある。其処では現在、関口作品の批評を巡る話題が流行している。これは関口君が云い出したものだが、僕が受け付けなければ生まれなかったものだし、途中から入ってきた君が拒否すればそこで終わっていたものだ」
「関口さんが生み出したもんではないと」
「そう。僕自身は好んでこんなくだらない話を語りたくはないし、益田君にしてみれば寝耳に水だ。でも、僕等三者の間では現在その話題が続いている訳だな。それは、現在此処だけで語られているものな訳だから、まあ僕等三人が形成する世間でのみ有効な話題なのだ。でもね、どうやら僕等はそれを普遍的な話題として語り合っている。世間で作られたものなのに、世界を語っているような誤解がある。これが流行だ。でも、そんなものはすぐに廃れる。たぶん、後数分で廃れる。それは僕等の関係性を左右するようなものにはなり得ない。」
やっぱり
京極堂の話は
含蓄がある