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2007年5月14日月曜日

読売新聞朝刊より抜粋

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バブル期と氷河期の本音

【バブル期から氷河期への一言】
・確かに優秀な人が多いとは思うが、ドライな人が多い
・自己中心的でチームワークがうまく取れない
・「就職難」「超氷河期」と言う言葉に踊らされ、自分に甘い人が多い
・向上心はあるが、会社自体をバカにしている
・氷河期の人の採用がないので、私は下っ端のままです

【氷河期からバブル期への一言】
・バブル期の人がうらやましい。人数が多いので立場がすごく強い。
・それほど能力もないのに一流企業に入社して、今は会社にしがみつかないといけないのでかわいそう。
・バブル期の人が上の世代なので出世が遅いな、と思う
・集団でイベントを行うことが多く、自立した個人が少ない
・利益を取ることに対して貪欲さに欠けている
面白いですよね、これ。
同じ30台でも、前半と後半では価値観が真逆に近い。
この少ないサンプルが事実だと仮定して、これらから得られるものは、少なくとも若い人ほど「何とかするのは自分の力だ」と考える人が多いと言うことかな。
実際、僕らの世代でも、「社会が後押ししてくれるから何とかなるさ」よりかは、「自分の足で歩くしかない」と考える人のほうが多いはず。
「向上心はあるが、会社自体をバカにしてる」
という意見の典型が僕ですお。会社に勤めることが人生というのはひとつの「形」に過ぎない。生活を会社に依存させるのもひとつの「形」に過ぎない。実際僕の親父なんかは会社勤めではなくて自営業だし、その自営業で僕をこうして裕福に育ててくれた。なんらかの形で会社に関わることは多いと思うけど、それが全てじゃない。単に、今までは、会社に従属することが安泰な生活を得るための最適な手段だった、と言うだけだ。もちろん今でもそうだと思うけど、昔ほど安泰じゃない。
そういう観点に立ってみれば、この記事で言うバブル期の人の意見は間違いなくステレオタイプなものだと思うし、「自立」と言う意味からすると氷河期世代の人のほうがしっかりしてる。
でも、実際にバブル期の人でも氷河期の人の意見を持ち合わせる人もいると思うし、その逆も然りだと思う。

とか何とかいうより、僕は単純に「バブル期」とか「氷河期」とかで二分することが気に入らないけどね。そんな簡単に分析出来たら誰も苦労しないよ。こういう記事を真に受けることで、「30台の人はドライなんだ」「バブル期の人は社会の恩恵を受けただけなんだ」って言う誤解を受ける人だっているだろうし。単なるアジテーションに過ぎないけど、そうは思わない人は少なくない。

大雑把な分析は傾向を掴む役に立つとは思うけど、偏見を助長する危険性がある。
採用された『意見』にしたって、『選抜』を受けてるわけだから、結果として恣意的な統計記事にならざるを得ない。
氷河期世代の意見として、「バブル期の人もドライ」なんてのがあったとして(実際会社によってはあるだろう)、それを採用した場合、読者からすれば「??結局人それぞれってことじゃん?」って思われる。実際は「人それぞれ」に勝る真理はないんだけど、マスメディアとしてはそれじゃあ商売にならない。だから一貫させる必要がある。そうするとそこに偏見が生まれる。差別が生まれる。
環境保全を訴えながら森林を伐採して紙とかを作るのになんだか似てるな。

要するに、まあ正しいとか悪いとか言うのがあるとすれば、なんにしろ決め付けることが悪いんだろうな、と僕は思うわけで。全ては捉え方の問題だしね。「そうかも知れない。でもそうじゃないかも知れない。」と村上春樹みたいな言葉を口癖にさえしていれば、もっと視野も広がるんじゃないかな。