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2007年11月12日月曜日

『無理にねじってドーナツになるより そのまま手を繋いで ズレた世界で今日もおはよう』

昨日はP嬢と『ボーン・アルティメイタム』を見てきた。
僕は大のボーン・トリロジーのファンで、これを越える映画は自分の中では20本ぐらいしかないんじゃないかと思っている。多いって?でもそんなの(ry

作業用BGMに、二作目のボーン・スプレマシーを垂れ流しにすることもあるほどのボーンフリークである僕は、素敵なサウンドを提供してくれるジョン・パウエルに賛辞と敬意をありったけ払う。トリロジー全編を通じて同じBGMを使いまわしたにも関わらず緊張感がまったく薄れなかったのは、監督であるポール・グリーングラスの手腕だろう。

TVCMなんかを見ていると、まるでボーントリロジーの魅力が派手なアクションにあるかのように宣伝されているが、あれは大間違いだ。アクションシーン自体はぶっちゃけそこまで見どころではない。カーチェイスシーンは最高だが。
なぜそう断言できるのか?良い質問だ…ボーンフリークの僕が察するには、まず魅力は「ボーンが追手の裏をかくこと」にあると言い切る。それはボーンの設定や言動からも明らかだ。極力、目立った行動は避けている。それはボーンが元最強の「暗殺者」だと言うこともあるし、公然の場で目立った騒ぎを起こせば逃げ切ることが出来なくなる可能性が高まるからだ。その辺の怜悧冷徹な計算は、本編を見てもらえればすぐにわかることだろう。直接敵を脅して聞き出せばいいものを、あえて泳がし盗聴等をすることで情報を聞き出すのは、ボーンが争いを極力避けているからだ。争いは何も生まない。
さて、その観点から見れば、先ほどの断言の意味が理解できると思う。ボーンが派手なアクションシーンを起こすことは「やむなし」の状況だからだ。
ボーンがもっとも力を入れているところは、敵の裏を如何にかくか、でありそれ以外はない。

ボーン・スプレマシーはその裏のかきかたが常軌を逸していたが、今回も負けず劣らずだった。ネタバレにならない程度に一つ紹介しよう。

ボーンは、とある新聞記者に接触する必要があった。しかし、新聞記者に接触を図るとき、ボーンは複数の監視員を発見する。そうなると、新聞記者が使う携帯から何から何まで盗聴されている可能性が高い。そこでボーンは、事前に購入しておいたプリペイド携帯を、すれ違いざまに新聞記者のポケットに入れて、鳴らす。それを見てとったCIAは驚く。あんな携帯は知らないからだ。当然盗聴は不可。その間、ボーンは新聞記者に逃げる指示を出す。
まず、バス停の近くまで行き、フードをかぶった男の近くまで行き、その男の目の前で振り向く仕草をしろと指示する。フードの男はまったくの無関係だ。しかし、見知らぬ携帯で電話しながら、フードの男と喋っているように見える新聞記者に対して不審な何かを覚えたCIAは、さっそくそのフードの男を抑えようと、待機させていた監視班を行動させる。が、それはボーンが咄嗟に考え付いたフェイクだった。監視班が動いている間に、新聞記者を別の場所に移動させる。
新聞記者の姿を見失ったCIAは、街の全モニタを監視し、姿を見付次第街の要員に連絡し、確保に移ると言う人海戦術を取った。
そこでボーンが取った行動は、「監視カメラにはもちろん、街をうろつく要員にも決して見つからないこと」。単純明快である。
監視カメラの位置や動きを確認しながら、自分と新聞記者が絶対に写らないよう移動し、電話でも移動を指示する。
CIA諜報員が近づいてきたら、「靴のヒモを結ぶフリをしろ」と新聞記者を屈ませ、見えなくさせる。
しかし、結局新聞記者がすべての人間を追手だと疑心暗鬼に駆られ、耐えられなくなり、ボーンの指示を聞かずに一人飛び出してしまう。CIAはそれによって新聞記者を確認することが出来、配置させていた暗殺者のスナイパーに射殺させることが出来た…


と言うような具合だ。ボーンがありえないぐらいの機転を効かせて逃げきろうとする様は、見ているこっちがクールな気分になってくる。

ボーン・スプレマシーでは、インドのゴアから始まり、モロッコのタンジール、イタリアのナポリ、ドイツのベルリン、ロシアのモスクワ、と言う風に各国を跨いでの逃走劇を繰り広げるが、今回もスケールは大きい。
ボーン・アルティメイタムでは、ロシアのモスクワから始まり、フランスのルーアン(だっけ?)、スペインのマドリード、モロッコのタンジール、アメリカのニューヨーク、と言う壮大な逃走劇になっている。もちろん、逃走と言っても見つかったときのみであり、基本的には自分の記憶を取り戻すための攻勢に過ぎないのだが。

と言うわけで、これを読んだ人は上映中に『ボーン・アルティメイタム』を鑑賞しにいくように。君もマット・デイモンのファンになろう!



ちなみに僕がアルティメイタムで一番好きなシーンは、ボーンが敵のボス(ここではこういう言い方をしておく)のオフィスに侵入して、とあるブツを盗み出すときのシーン。
ブツは金庫の中に入っており、指紋と声紋の照合が必要だった。
潜入は、大掛かりな陽動を事前に行っていたので容易に行えたが、指紋と声紋はどうにもならない。
そこでボーンは、オフィスにあった書類から電話番号を調べ、携帯にかける。テープレコーダーを起動させておいて。
ボスが電話に出る。欲しかったのは声紋だけ。が、ここで自分の名を名乗る。そして、ボスに「今どこにいるんだ?」と問いかける。ボスは「今は自分のオフィスにいる」と答える。ボーンは「本当に?」と聞き返す。ボスは「疑うのか?」と作り笑いで返す。
ボーンは、「おかしいな…オフィスにいるなら、今向き合っているはずなんだが」とだけ言って、一方的に電話を切る。クール!!!!111123

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