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2008年6月14日土曜日

風はいつも春一番

水から電流を取り出す「ウォーターエネルギーシステム」

こないだTVでやっているのを見て、おおすげー究極のエコだったりするんじゃね!
とかちょっぴり興奮してしまったもので、これからの展開に当然超期待。
だけれど、現実的に考えて「誰が見ても美味しいトコ取り」のこの製品がすぐに市場に出回るかと言うとそんなことはないと思う。
理由は簡単。石油燃料からの脱却、運輸費の超低コスト化、スーパーエコなエネルギー…恩恵を上げると枚挙に暇がなさそうなだけに、あらゆるところから、思わぬところの反発が多そうだからだ。
「そのアイデアいいね!」だけでは通用しないのが現実。いくら今エコが叫ばれていて注目度が高いとは言え、新勢力は旧勢力のとてつもない反発を食らうものなんです。新しいものはどこかの誰かにとって迷惑なものなんです。
けどまあ、一番大事なのは「何がすごいか」ではなくて、「そういうものが作られている流れ」というやつだと思うわけで。
いくら抵抗が強くても、一度起こった流れと言うのはほぼ確実に止まらない。僕は短い人生経験でものすごくわかった。
SecondLifeはもう結構有名だからいちいち説明する必要もないと思うけど、あれは確かに先駆ではあったが成功したと言うわけじゃない。一時期ブームにもなったが、一部に留まった。
けど、3D仮想世界空間の構築の流れは止まったわけじゃない。SecondLifeが流行らなくても、どんどん新しいのが出てきてる。CAPCOMも3Dブラウザなるものを開発していたし。携帯でも3D空間を演出したサイトというのが少しずつ増えていると聞くし、3D化の流れは止まらない。現在の新しいゲームソフトの多くが3Dを使っている事実を考えればよくわかる。10年前はバーチャファイターみたいなポリゴンがRPGにまで波及するなんて思ってもなかった。

だから、電気自動車だとかこのウォーターエネルギーシステムだとか、あるいはメタンハイドレートだとか、原子力発電の応用だとか、バイオ燃料だとか、色々とあるけれど、次に何が来るとか何が来ないとか、大事なのはそこじゃない。
要するに、石油燃料からの脱却の動きが加速している、と言うのが一番大事なわけだ。一部を見ずに全体を見ましょう。
個人的には電気自動車がやっぱり一番シンプルでいいかなあ、と思うけどね。電気を電波に乗せる技術が実用化されればもっと応用範囲も広くなると思うし。事実上の「補給いらずの車」ってわけだな。フヒヒ

てわけで書評。

傷物語 (講談社BOX)
傷物語 (講談社BOX)
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西尾 維新
講談社
売り上げランキング: 554
おすすめ度の平均: 4.5
5 前日譚
5 羽川希望!
5 恐怖(?)のリカちゃんの話は秀逸。
4 笑わない。
5 おもしろかったよ

【傷物語】
空前絶後、掛け値なしのギャグ小説だった化物語の続編にして前日譚である本作は、比較的シリアス分が多目だった。
化物語をたとえば電車の中で読むというのは、社会的にありえない発想だったので、たぶんその要素を継承しているんだろうと思っていただけに少しばかり肩透かしだった。あんなに読む覚悟をしていたのに!

西尾維新のすごいところは、その卓越した文章力だけではなく、演出力にもあると思う。
ミスリードが決してうまいわけではなく、むしろ話の流れは結構読めてしまうのだが、読めても尚引き込まれる。
ストーリーに関係なく作中に引き込まれると言うのは、はっきり言って卑怯だと思う。遠慮なく言って最強だと思う。
内容は西尾維新だなあ、と言う感じ。前作とどうしても比べちゃうので少し物足りない気もしたいけど、面白いか面白くないかで言えば面白いに太鼓判を押したい。

孤宿の人 (上) (新人物ノベルス) (新人物ノベルス)
宮部 みゆき
新人物往来社
売り上げランキング: 153

孤宿の人 (下) (新人物ノベルス) (新人物ノベルス) (新人物ノベルス)
宮部 みゆき
新人物往来社
売り上げランキング: 155
おすすめ度の平均: 4.5
4 ほうは阿呆のほう
5 ラストが泣けるー


【孤宿の人】
宮部みゆき初挑戦。模倣犯とかあの辺で興味が出て来始めたのだが、Dに『宮部みゆきは時代小説の評価が高いな』と言われ、この作品がちょうど文庫化した折だったので読んでみた。
上巻の始め200Pぐらいは、主に舞台説明や描写が続いているために時代背景や舞台設定を脳内にインストールするのに時間がかかり、つまりは平たく言えばつまらなかったんだが、主要人物たちをほぼ把握出来た辺りから(僕の読解力が人並み以下であるということに加えて、とかく江戸時代の藩ってやつは人間関係は多い上に複雑でややこしいのだ)途端にめちゃくちゃおもしろくなってきて、下巻に突入してからは読むスピードがとても早かった。

瀬戸内に面する四国の藩の中でも民草を視点にして話が進んでいくため、藩を取り巻く様々な権謀術数の影は見え隠れする。だけどそれらはまるで妖のように朧げにしかわからない。
ゆえに、登場人物たちは一様に言う。「自分たちにはどうしようもねえことだ」。真相を探れば隠密に消される。しかし人の口に戸は立てられない。噂は真実を内包する。
全編を通して、身分の差に起因する無力感が漂う本作。というと語弊があるけれど、物事に対して無力であるという事実と、何とかしたいという正義感の葛藤がすごい読み応えがある部分だと思うます。
人間ドラマが確かに面白い。
最後はグッと来た。って言うか悲しすぎだ。

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