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2008年7月19日土曜日

下手の横好き。好きなものがあって結構なことじゃないか

僕はEやDなんかとしょっちゅうボーリングをやっていて、その都度平均で140~150のスコアを叩き出しているので、結構うまいと思われがちだが、それは「脱・初心者」程度だ。
EやDを含み、よくボーリングをやる身内連中が皆口を揃えて言うのは、「スコアは環境に左右される」と言うこと。
もちろん、一定以上の巧さになると環境なんて関係なくなるんだろうけど、僕らみたいな素人に毛の生えたようなやつらは環境にモロ影響を受ける。
だから、違うボーリング場でスコアが出なかったからといって「お前も大したことないな」的なことを言われるのは心外であり気分の良いものではない。単なる煽りならまだ良いのだが、僕がイラッとするのは上記のことを理解していないからだと言うこと。それを言うと「本当にうまかったらどこでもスコアは出るよ」てなことを言われるが、そんなことは当たり前だ。本当に巧くないからこそボーリング場の慣れ不慣れによってスコアに差が出るんだろうが畜生め。と毒づいてしまう。漫画家でも、カラー原稿だと綺麗なのにモノクロ原稿になると途端に絵柄が違って見える作家とかがいるだろうが。その作家に対して「本当に絵がうまい人はカラーでもモノクロでも関係ないよ」と言えるのかと。僕は一応どっちも書いたことがあるから、両方の特性や難しさはわかってる。だから話として批難はしても感情的に批難はしない。出来ない。
批判ってのは本当に簡単だからな。難癖なんてどうとでもつけれる。だから批判の多い人よりも、何かと誉めることの多い人のほうがすごいと言えばすごいのだけど、誉めすぎてもいずれは信用出来なくなると言うことにもなるし、つまりはここでもバランスが大事ということだ。(高校時代のクラスメイトの一人はとにかく何でもかんでも誉めていて、最初は結構話してても楽しかったのだがそのうちどれが本心なのか見分けがつかなくなって皆と距離を置かれるようになった、と言う経験もある。)

まあ、僕は友人たちと趣味としてボーリングを楽しめたらそれでいいのであり、話のネタとしてそのことをよく話もするけど、今度からは「初級者・中級者・上級者」と言う区分けが存在するのだと言うことを口をすっぱくして言うことを心がけよう。上級者はどこでやってもうまいが、中級者は場所や環境による、と。


幻夜
幻夜
posted with amazlet at 08.07.19
東野 圭吾
集英社
売り上げランキング: 7010
おすすめ度の平均: 4.0
3 続編は?
3 「幸せ」になるために手を汚し続けるのか?
4 またしても、謎の美女にやられました
4 私も、裏切られた!
5 凄い読後感


『秘密』ほどではないけど、これもなかなかの読後感。
続編が出て、謎が明らかにされるのか、それとも本編のみで謎は読者任せなのか判然としないが、とにかく最後の最後まで翻弄されるような小説だった。
本作は、阪神大震災の被災を契機に人生をやり直す二人の男女の物語を描いた物語だ。
魅力と才能を併せ持つ「女」の言う幸せのために男はあらゆることを遂行し、徐々に迷いや疑念を抱き始めるのだが、それすらも「女」の思慮の範疇だった、と言うようなすごい深慮遠謀を延々見せ付けられる。
一応作品としては『白夜行』の続編という位置づけで、実は僕はそれを読まないまま、P嬢の父上に拝借したわけなので、『白夜行』を買って読んでみようかと思わないわけがないわけですwwwまあもうAmazonで注文しちまったけどな(゚∀゚)


ゴールデンスランバー
伊坂 幸太郎
新潮社
売り上げランキング: 391
おすすめ度の平均: 4.5
5 いちばん売りたい本
5 一気に・・・
5 もうひとつの結末
4 ジェットコースター小説だが・・・
3 え!?これでいいの??


確か『本屋大賞』かなんかを受賞してた本作は伊坂幸太郎の書き下ろし小説だ。
「伊坂が娯楽小説に徹するとどうなるのか?」を実現したとされる作品だが、もしそれを徹することでこれが完成したとするなら、それはすごいことだと思う。そんな小説。
何がすごいって、構成がすごい。

1:事件のはじまり
2:事件の視聴者
3:事件から20年後
4:事件
5:事件から3ヵ月後

という構成なのだが、4と5以外はひたすら事件についての詳細な描写のみ。
最初はなんだこれ、と思うような内容だった。
が、4の事件が始まるともう止まらない。約400ページ強を使ってひたすら逃げて逃げて逃げまくる。そんな小説。逃げる以外に選択肢のない、冤罪の被害者である主人公。
伊坂版『The Great Escape』といわれるのも必然だろう。
そして何より、話の収束のさせ方が秀逸。バラバラの視点を最後には一つにする手法は、京極夏彦並の手腕を感じた。

あとがきでも明かされるし、1/5ぐらい読めばすぐにわかるのでココで公表しておくけど、この小説のモチーフは『ジョン・F・ケネディの暗殺事件』だ。
あの、歴史上類を見ないほど謎に包まれた事件ね。暗殺の状況に様々な矛盾が出てきているにも関わらず、オズワルドが犯人に挙げられ、そのオズワルドはTV放映中にジャック・ルービーによって衆人環視の元殺され、結果的に迷宮入りしたと言う、誰もが知ってる事件だ。ジャック・ルービーはオズワルド殺害を私的な理由だと供述し、獄中でも多くを語らず死亡してしまう。
そんな謎めきまくる事件をモチーフにして、宅配ドライバーである主人公をオズワルドにして逃走させ続ける書き下ろしを描いた伊坂の文才に嫉妬。けど超オススメ。
余談だけど、ジョン・F・ケネディの暗殺事件の真相は2039年に明かされる。それは当事者がほぼ他界しているだろうという年だから、とされている。少なくとも、そう言う限りは真相は判明しているわけで、それは逆説的に陰謀説の証明にしかなっていない。

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